きこしめす講釈師

寄席芸人 講釈師(講談師) 神田 鯉風 の「毎日更新続行中」な旅日記でございます。
大体五百円程度の範囲で、セセコマしい雑多な勝負を連日連夜繰り広げております。
二週間から一月ほど前のお出掛け報告が殆どですが、どうかご容赦下さいます様に。
取り上げましたお料理やお店の詳細は、「参考リンク」をご覧戴きます様に願います。
「 心から こころの鬼に せめられて 身のおきどころ なき人もあり 」 by 糟谷 磯丸
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3515 【呑みモン127】幻の伏見幕府と「山田錦のビール」

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京阪・伏見桃山駅の前から延びる全屋根式アーケードは、木幡山伏見城の大手門へ向かう通りだったらしく「伏見大手筋商店街」と名乗ってますナ。如何にも伏見っぽい気取らない商店街で、京都と思えません

 

拙宅の在る東京・板橋から標高にして千数百mも高い、甲信国境の高原へ参りましたら高山病?エラク草臥れ疲労困憊バタンキューで、更新を二日休ませて貰った私メです。そのお噂はいずれ記事に致しますヨ。

 

今はその前に参った旅噺を古い方から記事にしてますが、まだまだ在庫が多く有りますナ。だから更新を休んでる場合じゃ無いのに、本調子にゃ遠いンで無茶は出来ず・・使いきれず蔵入りさせた根多が幾つも。

 

ホント勿体ないと思いますが、そのうち何らかの形で記事化するかも知れませんネ・・全く見当つきませんが。ソレより大阪のお宿から、京都へ向かったとお思い下さい。最近はインバウンドで京都に泊まれません。

 

私ぁ京阪好きですンで大阪・京橋から鳩マークの特急に乗り、今回は京都市内に入って特急最初の停車駅・中書島で降りましたが、改札を出るのは各停に乗り換えた次の駅・伏見桃山。アーケード内をブラブラと。

 

日本一の内陸港だった頃の面影が残るのが、月桂冠大倉記念館の裏を流れる「濠川(ほりかわ)」。秀吉公が築いた指月伏見城の外濠として掘られたからですが、水運全盛期は多くの舟が行き来したンでしょうネ

 

勿論アーケードが目的で伏見へ参った訳じゃ無く、豊臣家から徳川家への政権移行期に実質的な「日本の政府」所在地だった伏見城を見に行こうと云う、極めて講釈師らしい歴史探訪・・だった筈。処が急な大雨!

 

京橋を出る時は晴れてたのに、京阪特急が京街道沿いにクネクネ走ってる内に天候俄かに一転し、折畳み傘じゃチト厳しいかナ?アーケードをブラついてる内に多分止むでしょ、何ゴトも悲観したらお終いですヨ。

 

なのに東夷の楽観は京師の雨神に通じず、雷神様まで連れて来たンで万事休す。史跡巡りは次の機会・・だって伏見城は微妙に場所を変えて三つも築かれてるンで、一日かけてジックリ見て廻らにゃとても無理!

 

元々は平安貴族が別荘を多く構えた景勝地で、「空の月・川の月・池の月・盃の月」と月が四つ楽しめたンで、「指月(しげつ)の森」と呼ばれたンだとか。ソコに隠居所として城を築いたのが、元天下人・豊臣秀吉公。

 

多少弱まったとは云え、雨降り天気にコリャ堪らぬと「黄桜カッパファクトリ―」へ。月桂冠・松竹梅・黄桜が伏見の三大酒造で、ソレが美味いかドウかは別として大手だけ有って鷹揚で、企業博物館が在りますヨ

 

「元」と敢えて付けたのは、一代で天下を取った秀吉公は甥の秀次公に関白と聚楽第(上京区に築いた城)を譲った後だからで、指月へ散策に来て気に入った秀吉公は、僅か二十日後に築城を始めたと申します。

 

最初は小さな隠居城だった様ですが、一旦譲った天下に未練有り有りで、能々考えみればココは京都と大阪を睨む便利な場所だと大規模な工事をし、秀次公を自刀させて天下を再把握。コレが「指月伏見城」。

 

大規模な城下町も造成され、豊臣家中の大名は勿論、徳川家康公ら外様大名もココに屋敷を構えるコトに。処が二年で廃墟と化したのは大地震に見舞われたからで、推定規模はM7・最大震度も7・・城砦は崩壊。

 

ならばと近くの丘の上に新たに築かれたのが「木幡山伏見城」で、秀吉公が亡くなるまでの四年間を過ごされたのがココ。その後を託された五大老の筆頭・家康公は、大坂城で政務を執ったンで一気に寂れた様。

 

かっぱ寿司の看板からカッパが消えて久しい現在、全国の河童社会を背負って立つのはやっぱりカッパ黄桜!昭和三十年代からCMキャラにしてるンで造詣が深く、色ンな河童が居りますヨ・・妖怪ナンですが

 

再び伏見城が歴史の表舞台に立つのは、秀吉公没して二年後の慶長五年(1600)の関ヶ原合戦。東軍の最前線要塞として猛将・鳥居元忠が籠城するが、石田三成の西軍四万の大軍に攻められ玉砕・大炎上!

 

合戦後、勝利した家康公が改めて木幡山に再築城し、ココで朝廷から征夷大将軍に任じられ、大阪を睨みつつ専らココで政務を執ってた様。つまり江戸幕府の初代将軍なのに、実質的に伏見幕府だったンです。

 

但しソレは僅かに四年弱。豊臣家をほぼ完全に封じ込めたのに安心したか、同じくココで二代将軍の宣下を受けた秀忠公に幕府を譲った家康公は、育ち故郷の静岡・駿府城へ帰って大御所政治を開始するコトに。

 

そして大坂の陣で豊臣家を滅ぼした八年後、伏見は廃城されちまいます。以降は淀川水運の湊町として栄え、酒造業が盛んと成りますが、一時は日本の中心だったこの街。改めて晴れた日に参ろうと思います。

 

伏見城が存在したのは三十二年間、また表舞台に居たのは十数年間だけですが、一時は日本の中心だったのは確かな事実。江戸時代は京都と大阪を短絡する川舟の発着港として賑わい、上方講談や落語にも淀川の三十石舟が良く出て来ますが、今度私ぁその手の噺を習いますンで、乗りたかったナ・・例え濠川の中だけの十石船でも。最盛期は二万隻の舟が行き来したそうで、戦前まで日本一の内陸港でしたヨ

 

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★明日は「京都府京都市北区紫野」への訪問記です★


(参考リンク)
★「京ごよみ」京都市観光協会HP
★「京都観光Navi」京都市産業観光局HP

★「酒と歴史の薫るまち」伏見観光協会HP
★「伏見稲荷大社だけじゃない!伏見の穴場観光スポット教えちゃいます」icotto HP

★「京都・伏見を訪ねる」月桂冠HP

★「歴史と酒と水の町『伏見』の商店街へようこそ」伏見大手筋商店街HP
★「伏見桃山 お食事も買い物も!なんでも揃う!『大手筋商店街』」Kyotopi HP
★「港町伏見、水辺の魅力を感じる十石舟の旅路」月桂冠HP
★「伏見 柳と濠川と十石舟」京都を歩くアルバム・ブログ
★「豊臣秀吉が築いた『伏見城』と伏見の街」三井住友トラスト不動産HP
★「伏見城の今と昔を辿る。豊臣が築き家康が再興した幻の城」wondertrip HP
★「幻の伏見城〜徳川幕府は何を恐れたのか?」今日は何の日?徒然日記ブログ

★「伏見の清酒」伏見酒造組合HP
★「くつろぎ、うるおい、かがやく。」黄桜HP
★「子ども連れでお酒を楽しめるお店♪」まちむすびブログ
★「カッパ家族の自己紹介」黄桜HP
★「くつろぎ、うるおい、かがやく。」黄桜HP
★「製品情報 地ビール」黄桜HP

★「黄桜 京都麦酒 ブロンドエール」黄桜HP
★「京都麦酒 ブロンドエールが山田錦美味い」ガイコツブログ


(関連する記事)
★「911 【麺類色々52】清酒の町・伏見で『きざみそば』」
★「912 【名物パン71】伏見の『なつかし菓子パン』と寺田屋事件」

★「972 【お米料理67】宇治川の合戦と『鰻いいむし』」
★「973 【スイーツ54】紫式部センセも「宇治抹茶ソフト』を食べたがるか?」

★「1019 【お米料理72】隠元禅師と煎茶道と「衣笠丼』」
★「1361 【揚げモン48】伏見稲荷と『大き過ぎる京揚げ』」
★「1731 【名物パン184】黄昏の伏見で『サンライズ』を」
★「2420 【名物パン286】巨大伽藍の東福寺で『京風メロン』を」

★「3080 【お米料理304】お稲荷さんの総本宮と『沖縄のいなりめし』・・伏見」

★「3081 【調味料類43】酒蔵の並ぶ街で『創味のぽん酢』を・・伏見」
★「3244 【呑みモン96】外国人の少ない京都で『黄桜のはんなりビール』を・・上賀茂」


(鯉風のお仕事)
★「日本全国へ、『出前講談』にお伺い致します」
★「『フルオーダー講談』を作ってみませんか?」

 

(徳川家が破却した最後の伏見城址は、明治天皇稜で近寄れません)

正確な数字は知りませんが、全国に百五十社近くも地ビール会社が在る中で、生産量が恐らく最大なのが黄桜。平成七年(1995)から京都初の地ビールとして醸造してますが、全国発売のモノも有れば京都でしか売ってないのも有りまして、中でも京都だけなのが日本酒醸造の酵母技術と仕込み水を使った京都麦酒シリーズ。十種類近く出してる中で今回は「清酒酵母のゴールドエール」と「山田錦使用のブロンドエール」を。日本酒酵母がドウなのかは良く判りませんが、ビールに向いてるか別として日本酒用の山田錦を使うって面白いですナ。地ビールと云うと味のきついモノが多いですが、ソコは流石に大手酒造会社。決して万人向けじゃ無いですが、ソレなり以上に呑み易いモノを出して来てますヨ。但し同じ京都麦酒シリーズでも瓶詰めのモノは結構トンがってるらしく、何れ機会が有ったらソチラも試してみたいですナ。とにかく面白い試みですヨ




| 2019.10.09 Wednesday (00:15) | 京都上ル下ル・洛外 | - | - |
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