きこしめす講釈師

寄席芸人 講釈師(講談師) 神田 鯉風 の「毎日更新続行中」な旅日記でございます。
大体五百円程度の範囲で、セセコマしい雑多な勝負を連日連夜繰り広げております。
二週間から一月ほど前のお出掛け報告が殆どですが、どうかご容赦下さいます様に。
取り上げましたお料理やお店の詳細は、「参考リンク」をご覧戴きます様に願います。
「 心から こころの鬼に せめられて 身のおきどころ なき人もあり 」 by 糟谷 磯丸
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目白と云うと山手線の駅周辺のイメージですが、2.5kmほど都心寄りの「目白坂」界隈が本来の目白。関口台への急坂沿いに目白不動さんが在ったンですが空襲で焼け、新坂が造られて風景が変わってます

 

二日ほど更新をサボりましたが、素知らぬ顔して今日から再開する私メです。芳しからぬ心神の調子は相変わらずですが、ソレでも前向いて進んで行くしか有るまいと、一日も休まずテクテク歩き廻って居りますナ。

 

ドコへ参るかはその日の予定次第ですが、暇な時は全くテキトーで足の進むがままにブラブラと。気分が良けりゃ思わぬ遠出をしますケド、ソウじゃ無い日は拙宅近くの大繁華街・池袋や、雑司ヶ谷辺りが多い様な。

 

或いはもう少し頑張って、関口台の東京カテドラルまで参り「助けてお呉ンねぇ」と、耶蘇信者でも無いのに大聖堂のマリア様に縋る訳ですが、少し前から気付いてたのは・・その近くに大作家の住居跡が在るコト。

 

その人は戦前から戦後にかけての小説家・詩人の佐藤春夫氏で、世間じゃ専ら「秋刀魚の歌」で知られてる方。詩歌の方は明るいのが多いンですが、小説は昔の作家らしく倦怠的なのが多くて居らっしゃいますヨ。

 

作家・佐藤春夫氏が目白坂に住んだのは昭和二年(1927)のコトで、昭和三十九年に亡くなられるまで瀟洒な洋館に暮らしたとか。旧宅は生地の和歌山・新宮市に移され、跡地にはアーチ形の門が残ってます

 

恋に思い悩み、愛に苦しみ抜いた御方に相応しく()イザ読むと憂鬱に成って来ますンで・・キツイ。いやいや発病してから長編のみならず、例え短編だろうと本が全く読めなく成った私メにゃ、今は無理ナンですが。

 

処が詩歌なら辛うじて楽しめますンで・・ソッチの方で斬り込みますが、ソウすると避けて通れぬのが「秋刀魚の歌」。さんま、さんま、さんま苦いか塩っぱいか・・間違っても魚屋や料理屋の呼び込みじゃ無いです。

 

私メの様な下種な輩と違い、後世に名を残す作家の色恋沙汰は大袈裟で、コレまた文豪の谷崎潤一郎氏の奥方を巡る一件の歌だとか。聞けば奥方は「貞女の鑑」と称えられる、非の打ち所の無い美貌の持ち主。

 

処が谷崎センセはトンだ女たらしで、依りによって奥方の実妹に手を出そうとしますヨ。夫婦仲は冷えに冷え、思い余った奥方が相談したのが離婚したての春夫センセ。同情から恋に変わるのは、良くあるお話し。

 

日本最大のカトリック教会「東京カテドラル聖マリア大聖堂」周辺は、城北有数の高級住宅地に相応しく・・実に静かな街。板橋宿の拙宅からココまでちょうど五kmと都合よく、信者でも無いのに度々参ってます

 

私メら芸界も破天荒な輩揃いですが、ソレでも「凄い」「物凄い」「途轍もない」と分れてますナ。谷崎センセは最上級の破天荒で、奥方と親友の仲に気付くと「判ったお前に呉れて遣る、男の約束だ」。カッコいいゼ!

 

処が谷崎センセは気紛れで、男の約束がナカナカ中々果されず・・思い悩んだ末に詠んだのが「秋刀魚の歌」ナンだとか。発表されたのは大正十二年(1923)だから、残念ながら目白坂に越して来られる前ですネ。

 

良からぬ芸人根性で、目白坂で詠まれたンなら「目黒じゃ無ぇ、さんまは目白が本場だ」と騒ぎますが、実証主義の講釈師としては流石に無理。処が話は二転三転し・・その八年後、漸く約束が果たされるコトに。

 

「妻譲渡事件」として当時話題に成った様ですが、そんな二人が暮らしたのが目白坂。紆余曲折の末に、仲睦まじく終生ココで過ごしたそうナ。あの歌は知ってたけど、日頃歩いてる街に関りが有ったとは驚きです。

 

大聖堂の中にもマリア様像は有りますが、撮影不可ナンで外のルルドの泉に居らっしゃる聖母さまを。世間にゃイロんな女性が居りますが、どうか怖い人と気紛れな人が近寄って来ない様にして下さいませませ

 

秋刀魚の歌
 
秋風よ 情あらば伝えてよ 男ありて 

今日の夕餉にひとり さんまを食ひて 思いにふけると。

さんま、さんま、そが上に青き蜜柑の酸をしたたらせて
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。
そのならひをあやしみなつかしみて女は
いくたびか青き蜜柑をもぎ来て夕餉にむかひけむ。


あはれ、人に捨てられんとする人妻と
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、
愛うすき父を持ちし女の児は 小さき箸をあやつりなやみつつ
父ならぬ男にさんまの腸をくれむと言ふにあらずや。

 

あはれ 秋風よ 汝こそは見つらめ 世のつねならぬかの団欒を。
いかに 秋風よ いとせめて証せよ かの一ときの団欒ゆめに非ずと。

あはれ 秋風よ 情あらば伝えてよ、
夫を失はざりし妻と 父を失はざりし幼児とに伝えてよ
男ありて 今日の夕餉にひとり さんまを食ひて、涙をながす、と。

 

さんま、さんま、

さんま苦いか塩っぱいか。そが上に熱き涙をしたたらせて

さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
あはれ げにそは問はまほしくをかし。

 

ですが私メが好きな春夫センセの言葉は、

 

若さは夢であり花であり詩である。

永久の夢といふものはなく、色褪せない花はない。

また詩はその形の短いところに一層の力がある。

若さも亦それが滅びそれがうつろひ、

それが長くないところに一しほの魅力がある。

 

春夫センセは日本語の美しさを求め続けた、大偉人だと思ってます。

 

春夫センセは昭和十年(1935)に「芥川賞」が制定されると初代の選考委員に成って居られますが、ソレを頼んだのが文芸春秋社の創設者にして、コレまた著名な作家として知られた菊池寛センセ。その寛センセは「秋刀魚の歌」の発表された年から、昭和二十三年に亡くなられるまで目白坂に近い雑司ヶ谷にお住いでしたヨ。旧宅跡はマンションに成っちゃってますが、文豪同士で仲良く界隈を散歩でもされたかしらん

 

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★明日は「埼玉県さいたま市大宮区」への訪問記です★


(参考リンク)
★「歴史と文化に恵まれた緑豊かな区」文京区観光協会HP

★「目白台周辺の歴史」目白台に住みたいHP

★「目白坂の環境と歴史: なぜ『目白』なのか」グランドメゾン関口計画についてブログ
★「St.Mary’s Cathedral」カトリック東京カテドラル関口教会HP

★「これが教会!? 丹下健三建築の代表作『東京カテドラル聖マリア大聖堂』」キナリノHP

★「フランスの巡礼地ルルドが東京に」MCs Art Diaryブログ
★「佐藤春夫旧居跡!」ヒロ坊の多趣味のブログ
★「佐藤春夫記念館」レトロな建物を訪ねてブログ
★「作家・佐藤春夫の『晴れ男伝説』を裏付ける妻のことば」サライHP
★「『秋刀魚の歌』ー秋風よ、情
こころあらば伝えてよー」徒然草ブログ
★「谷崎の細君譲渡事件:瀬戸内寂聴『つれなかりせばなかなかに』」続壺齋閑話ブログ

★「『日本語の美しさ 佐藤春夫』・・・『規範 国語読本』より」takusankanの周易占いノート・ブログ

★「菊池寛旧居跡」東京都豊島区の歴史ブログ
★「こんがり塩焼きした秋刀魚をダシに使った味わい深いラーメンがウマイ!生粋 池袋本店」mog−mog HP
★「【池袋】ラーメン『生粋』グルメレポ!焼き秋刀魚ダシスープの魅力」くろたんの食べ歩き道ブログ


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(鯉風のお仕事)
★「日本全国へ、『出前講談』にお伺い致します」
★「『フルオーダー講談』を作ってみませんか?」


(この秋刀魚の塩っぱさとは、男が心の底で流す涙の塩っぱさですナ)

折角だからナニか秋刀魚に因んだモノを食べたいと思えども、高級住宅地過ぎて大衆食堂の在ろう筈は無く、また料理屋に入るとエライ事に成りそうナンで、勝手知ったる池袋まで撤退しましょ。そしたら西口に「まるごと焼きさんま」と記した大きな暖簾を下げた「生粋」なるラーメン屋さんを発見!コレまでに何百回も前を通ってる筈なのに、全く気付かずに居りましたが・・調べてみると「煮干しやサバ節ならぬ、焼きさんまから出汁を取ったラーメン」だけの店の様で、こりゃ春夫センセのお導きで有ろうと入ってみましたヨ。塩系と醤油系のある中で、醤油の方がさんま度が高いと仰るンでソウしてみましたら・・さんまの蒲焼の缶詰の汁を薄めて飲んでる様!勿論そんな筈は無いンですが、さんまさんま苦いか塩っぱいか・・途轍もなく秋刀魚で、結構美味しいのヨ。願わくば叉焼より、さんま蒲焼ならば完璧だった・・強く成り過ぎますが




| 2018.10.31 Wednesday (00:15) | 音羽・関口・早稲田 | - | - |
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| 2018.11.14 Wednesday (00:15) | - | - | - |
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